あなたは上流階級?それとも…?「映画観客の階級社会」
オオヤギさんの投稿"やっぱりカウリスマキが好き。「それぞれのシネマ」:カウリスマキ編"を見てコメントしていたら長くなり、しかも視点がズレてきてしまったので、結局1本の記事にしました。つきましては、先にそちらをご覧になってからどうぞ。
そのとおりですね。100%合意します。私は留学中「英国映画に描かれる階級社会」というユニットを取ったことがあったのですが、『それぞれのシネマ』を見て「映画観客の階級社会」というものを強く意識しました。それは『それぞれのシネマ』映し出される観客自体の職業や家柄には関係ない、「映画ファン度」的尺度で測られた階級概念です。そこで私はこう言いたい。
例えばコーエン兄弟の『World Cinema』のチケット売り場の男が映画を愛し知識も豊富な「映画上流階級」だとすれば、どの映画を見ればいいのか判断できずプライドを傷つけられていく観客の男性は「映画下級階級」なわけです。ラース・フォン・トリアー監督の『Occupations』では、車を8台も所有する社会的には上流階級のビジネスマンが、映画館という空間における観客という集団のなかでいかに「映画下流階級」の存在に過ぎないかを皮肉たっぷりに描き出しています。もう1本、ウォルター・サレス監督の『5.557 Miles from Cannes』でも、左の男がカンヌに行ったことがある(最後で嘘だとわかります)と“自慢”げに言い、右の男に「おまえは映画ってものを知らないな」というように得意顔をする。左の男は自分がカンヌを知っていることで「映画上流階級」であるという意識を見せつけ、カンヌがどこにあるかも知らない「映画下流階級」の友人との差を強調しているとも言えます。結果的に、左の男も自慢がハッタリだったことを告白して、その階級概念をブチ破るところが何とも痛快。しかも、そこで「映画上流階級」のものというある種の牽制をされたカンヌでこの『それぞれのシネマ』が上映されていることが、カンヌ映画祭のセンスのよさを反映しているともいえるでしょう。
そういう意味で、『それぞれのシネマ』には映画、もしくは映画館というものを賞賛するものとして描くというよりは、自虐的かつsarcasticに描くものが多かったと思います。面白いのは、そういう作品を世界が代表する監督たちが作っていることですよね。というよりは、世界を代表する映画監督たちだからこそ、ああいう切り口を生み出せるのかもしれません。
>映画は一部の特権階級だけが見るものではなく、工場労働者だって誰だって、みんな見る権利があるんだ… (オオヤギさんの投稿より引用)
そのとおりですね。100%合意します。私は留学中「英国映画に描かれる階級社会」というユニットを取ったことがあったのですが、『それぞれのシネマ』を見て「映画観客の階級社会」というものを強く意識しました。それは『それぞれのシネマ』映し出される観客自体の職業や家柄には関係ない、「映画ファン度」的尺度で測られた階級概念です。そこで私はこう言いたい。
映画は映画好きだけが見るものではなく、小津黒澤を知らなくても、スピルバーグもスコセッシも知らなくても、誰だって、みんな見る権利があるんだ…
例えばコーエン兄弟の『World Cinema』のチケット売り場の男が映画を愛し知識も豊富な「映画上流階級」だとすれば、どの映画を見ればいいのか判断できずプライドを傷つけられていく観客の男性は「映画下級階級」なわけです。ラース・フォン・トリアー監督の『Occupations』では、車を8台も所有する社会的には上流階級のビジネスマンが、映画館という空間における観客という集団のなかでいかに「映画下流階級」の存在に過ぎないかを皮肉たっぷりに描き出しています。もう1本、ウォルター・サレス監督の『5.557 Miles from Cannes』でも、左の男がカンヌに行ったことがある(最後で嘘だとわかります)と“自慢”げに言い、右の男に「おまえは映画ってものを知らないな」というように得意顔をする。左の男は自分がカンヌを知っていることで「映画上流階級」であるという意識を見せつけ、カンヌがどこにあるかも知らない「映画下流階級」の友人との差を強調しているとも言えます。結果的に、左の男も自慢がハッタリだったことを告白して、その階級概念をブチ破るところが何とも痛快。しかも、そこで「映画上流階級」のものというある種の牽制をされたカンヌでこの『それぞれのシネマ』が上映されていることが、カンヌ映画祭のセンスのよさを反映しているともいえるでしょう。
そういう意味で、『それぞれのシネマ』には映画、もしくは映画館というものを賞賛するものとして描くというよりは、自虐的かつsarcasticに描くものが多かったと思います。面白いのは、そういう作品を世界が代表する監督たちが作っていることですよね。というよりは、世界を代表する映画監督たちだからこそ、ああいう切り口を生み出せるのかもしれません。
加藤 舞



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