「サントゥール奏者」のハニエはなんてキュート!
ここでこの映画で注目したいのは、ハニエという女性の存在。とてもチャーミングな女性なのですが、この映画で描かれている女性像というのは、おそらく日本人が抱いているイランの女性像、少なくとも私が抱いていた女性像とはまったく異なる姿でした。
まず、ハニエが重度の中毒となったアリを捨てて、実家に戻ったシーン。アリは怪我をし、孤独と不安で実家にいるハニエに電話をかけてしまいますが、ハニエは居留守を使う。ハニエの母親は、なぜアリを助けないのかと責めるのですが、ハニエはこう反論します。
「あと何年我慢すればいいの!私も女よ。子供も生みたい。私はこれまで更生できるよういろいろ努力したわ。でもだめだった。もう我慢できない。彼をあんなふうにしたのは誰のせい?コンサートは禁止され、歌も歌えず、アルバムも許可がおりない。生活費を稼ぐためにホームパーティーで演奏をし、そして謝礼が麻薬。国民的な彼を麻薬漬けにしたのは誰なのよ!」
おそらくこのようなセリフだったと思いますが、早口で母親に抗議をします。女性が男性の犠牲となるのは当然という、きわめて封建的な社会というイメージを持っていましたが、実は私たちと同じ考え方をしている女性がそこにはいたのです。
また、アリとハニエが結婚をし、新婚生活を送るシーン。アリがドラムセットを買ってきます。それをハニエに見せるのですが、その時ハニエはあまりの嬉しさに両手を後ろに突き出し、まるでペンギンがジャンプするような格好をして奇声をあげ、全身で喜びを表します。また結婚前、アリがハニエの家を訪ねます。ピアノが置いてある部屋に通されたアリはそこで彼女を待ちますが、なかなか彼女は現れない。やっと現れたと思ったら、それこそペンギンが氷の上をすべるように、同じ姿勢ですーっとすべって入ってきます。そして2人はピアノを奏でながらじゃれあいます。そんなハニエはほんとにキュート!
当然のことながら、そんな女性イランでもいますよね。でも、マスコミの報道や他のイラン映画の印象からか、いつの間にか私の中で、イランの女性は夫の前ではこんなキュートなことはしない、女性は男性につくすという像が勝手に作り上げれていたことに、とてもショックを受けました。
ハニエのキュートさ、アリの名演もさることながら、サントゥールの音色、サントゥールを中心としたバンド演奏、パフォーマンスも存分に堪能できる映画です。快作です。ただ、惜しむべくは朝日ホール、やはり音が割れてましたね。(オオヤギ)



1 Comments:
私もこの映画見させてもらいましたが、音が割れてたのは全く気付きませんでした!オオヤギさん、さすがです。
新婚のハニエとアリがじゃれ合うシーンの数々は、本当にどれも見ていてうらやましいほどの無邪気さが溢れていましたね。しかしながら、冒頭から2人の関係が壊れることが語られ、知ってしまっているなかで、私はその強烈なテンションで描かれる幸福がいかに儚いものであるかを見せ付けられ、逆に凹んでしまいました(笑)映画館ではほどんど泣かないのですが、この幸せの絶頂にいる2人を映し出すシーンでは、切ないというかやるせなさでちょっと涙腺緩みました。
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Mai Kato, at November 20, 2007 at 10:19 AM
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